スポンサード リンク

ワキ汗を知ろう!

多汗症という、汗が体中もしくは体の一部から大量に出る病気があります。日本人の100〜200人に1人は多汗症だといわれています。

ところで汗は体中を覆う汗腺から放出されます。ワキ下は、体中では汗腺が最も集中している場所のため、汗の量も半端ではありません。炎天下で作業をしている人の両脇には、Tシャツにくっきりと丸いあざができます。

ワキ汗は、多汗症でなくとも、かなり気になるものです。特に臭いを放つ場合には、わきがでなくても気になります。病院による診断で特に何でもないとされたワキ汗の場合、たいていは精神的ストレスによるものです。ストレスによるワキ汗は臭いやすくなります。というのも、精神的ストレスがかかった場合、ワキの皮脂腺から臭いのもととなる物質が出てくることが分かっているからです。これが高じてくると、本格的に多汗症やわきがに移行する可能性があります。ワキ汗に対しては、市販の汗ワキパットを利用することで、汗とそれに混じる臭いのもとをカバーすることが可能となります。また、最近の汗ワキパットは殺菌効果の高いものもあるので、これを使えば細菌による異臭物質の生成を防ぐことも可能となります。ただ、白系のTシャツなどでは汗ワキパットは利用しにくいので、その場合には細菌効果の高いクリームやスプレー類を活用することで代用するとよいでしょう。

汗の正体

第一印象で人が好かれる要素に、見た目、雰囲気、そして匂いがあります。逆に、嫌われる要素として、見た目、雰囲気そして臭いがあります。人間の口臭と体臭は、このうち後者の「臭い」に属します。

体臭は主に汗に混じる物質が原因となります。汗自体は水分ですので、無色無臭です。汗は身体の汗腺から出、体内の温度調節を主要な目的としていますが、体内の不要物質の排出作用の機能も持っています。体内の不要物質には、それ自体が悪臭源となるアンモニアなどや、細菌類の分解過程で、あるいは分解物自体が悪臭を放つものがあります。

さて、汗を放出する汗腺には二種類あります。アポクリン汗腺とエクリン汗腺です。エクリン汗腺は体中にあり、主として体内の温度調節のための水分の出口となっています。従って、臭いのもとになる物質はほとんど入っていません。汗臭の原因は、アポクリン汗腺から出る汗の方にあります。アポクリン汗腺は、体毛の生えている皮下に集中して存在し、体内の不要物質を体外に排出する機能を持っています。排出される物質には、脂肪、鉄分、色素、蛍光物質、尿素、アンモニアなどがあり、これが汗をネバネバさせる、汗に悪臭を付加するという原因となっています。体毛が密集するワキから臭いが出やすいのは、このアポクリン汗腺がワキ下に集中するためなのです。

多汗症に漢方は効くか?

多汗症には、他の病気の合併症として発症する場合と、ホルモンバランスが崩れる、強度の精神的ストレスを受けるなど多汗症固有の発症形態があります。前者の場合には、多汗症に対する漢方の効果の有無を確かめるまでもなく、発症原因となった病気自体を治療する必要があります。他方、後者の場合、漢方がホルモン系、神経系、免疫系に作用することが経験的、もしくは、一部は実証的に効果が確認されていることから、多汗症に対しても試してみる価値はあります。

では、実際、多汗症に対してどのような漢方薬が処方されているかを以下みていきましょう。

熱や炎症を抑える働きのある漢方薬としてはまず「黄連解毒湯」があります。比較的体力があり、のぼせがあるか、血圧が高い人に向いています。体内の水の循環や発汗を制御する「防い黄ぎ湯」や「五苓散」が利用されます。前者は疲れやすく色白で太り気味の人に向いています。後者の「五苓散」の方は、口の渇きや尿量が少ない多汗症に効果があります。また、発汗を減少させる漢方薬として、「柴胡加竜骨牡れい湯」が上げられます。
なお、漢方薬も薬としての効果がある以上、反面、副作用もあります。漢方医と相談する場合には自分の体質などの客観的に正しい情報を予め用意しておくことが大切です。また、投薬中に副作用と思われる症状が出た場合は、投薬をまめ、すぐにかかりつけの漢方医にその旨を告げることが大切です。

多汗症の治療はどうやるの?

多汗症は、身体が体温調節の必要な状況にないのにもかかわらず大量の汗が出る病症をいいます。多汗症は、正常な汗かきとの区別が難しく、どのくらい汗が出れば多汗症なのかという線引きができにくい病気です。多汗症には、ホルモンの乱れから生じる場合の多い全身性多汗症と、手のひら、足の裏、わきの下、頭部などの局所に発生する局所性多汗症があります。局所性多汗症は、自律神経の乱れで生じる場合が多いようです。

多汗症の治療には、通常、薬物療法を使います。多汗症が他の病気が原因となって発症した場合には、その病気を治すことに専念します。他方、多汗症が精神的ストレスから生じたものである場合には、精神安定剤が処方されます。精神安定剤は、多汗症に直接的に効くわけではなく、間接的に、交感神経への偏りを調節することで副交感神経にスイッチさせ、心身に緊張がない状態を招来させることで、正常な出汗機能を戻す作用をします。また、汗をかく場合に出るホルモンに直接作用する薬剤もあります。この薬剤では、汗腺からの汗の出を直接止めるので、全身の汗腺に作用します。その結果、口が渇く、便秘や胃腸障害が起こりやすいなどという副作用が出る可能性があります。

薬物療法に加えて、食事療法も併用するとよいでしょう。油脂や肉の脂肪分、香辛料などは体温を上昇させ発汗しやすい状況を作り出すため、極力避けます。

多汗症の原因って何?

人間の身体は恒常性の維持機能で体内環境が常に一定に保たれています。体温調節もその一つで、体温が高くなると、発汗作用で体内温度が一定に保たれる仕組みになっています。ところが、この発汗が体温調節とは無関係に、しかも大量に発生することがあります。これが多汗症です。多汗症と間違えやすい病気に、わきががあります。ともに汗が原因となっている点では似通っていますが、わきががアポクリン汗腺から出る汗が細菌などよって分解されることで独特の臭いを伴っているのに対して、多汗症の方はエクリン腺から汗が大量に出る病気です。

多汗症は三つに分類されます。他の病気などがきっかけとなって多汗症が発症することがあります。これを「全身性多汗症」といいます。きっかけとなるものには、糖尿病、甲状腺機能障害、低血糖、高血圧、肥満、妊娠

などがありますが、外傷や炎症からでも発症する場合があります。他方、多汗症には精神的ストレス由来のものがあり、これを「精神性多汗」と呼んでいます。もう一つが、「味覚性多汗症」といわれるもので、これは辛いものや熱いものを食べた場合に必要以上に汗が出る症例です。また、汗をかく場所による分類として、全身性と局所性に分かれます。全身性の場合、急性リューマチ、婦人病、更年期障害などでホルモンバランスが崩れることで起こることが多いようです。